「ビジネスにおいて人を動かすことほど難しいことはない」と私は考えています。
根気と勇気さえあれば、自分で行動することに対しては何ら難しいことはないですよね。
成功の可否に関わらず「動かなくちゃ」という気持ちがあれば、動き出すことは出来ると思っています。
しかし、自分が働きかけて人を動かすというのはわけが違います。
今回は、私が前職で人を動かすことで挫けそうになった出来事や、人を上手に動かす秘訣をお伝えしたいと思います。
目次
私が仕事で挫けそうになったことと秘策を動画で解説
「人を動かす」とは?
改めて「人を動かす」とはどういうことかを考えてみました。私は会社で人を動かすほど立派な立場でもないし、大きなプロジェクトのチームリーダーというわけでもなく、ただ普通の社員でかありませんでした。
しかし業務上、収益を向上させる為に人を動かして働かせるということをしなければいけないポジションでした。
色々と思考錯誤した結果、私は「人を動かす=人の気持ちを変える」ことだと考えています。
本当にヤル気のない人を動かすことほど難しいことはないですよね。
人の気持ちを変えることは、大袈裟に言えばその人のこれまでの経験値や価値観さえも変えることに繋がるので、生半可な気持ちで「お願いします、動いてください」だけでは伝わるはずかないのです。
私はなぜ人を動かす必要があったのか?
ではなぜ私が人を動かさないといけなかったのかを説明します。
私は、損害保険会社の営業担当をしていたので、自分で個人や企業のお客様に自社の保険を売っていくというよりかは、個人や企業の保険代理店を通して商品を販売する戦略を立てて売って頂くというものでした。(これを間接販売と言います)
保険代理店の人達は、みんながみんなヤル気に満ち溢れた人ばかりではなく、どちらかと言えばヤル気のない人が大半の保険代理店でした。
その背景には、時代にそぐわない長年の拘りの販売手法を続けた結果、売り上げが伸びず社長のモチベーションが下がってしまったり、代理店社員の偏った価値観のもと保険会社の意見を取り入れたくなかったり等の考え方がありました。
言い方は悪いですが、私の担当は「昔気質の頑固オヤジ系」の方が多かったんですよね。
しかし私は保険会社の代理店担当者として、なんとしてもその人たちを動かして、収益目標を上げて頂かないとならなかったのです。
私が挫けそうになった出来事
自社の収益目標達成の為、私はひたすらA社にお願いと御礼を繰り返しました。
しかし、ヤル気のない人は新商品の名前すら覚えようとはせず、内容も知らんぷりです。
どれだけお願いをしても、「あなたは当社で働いてないからそんな事が言えるんじゃない?」とか「それはあなたの御社の目標であって当社の目標ではない」とか、同じ方向性に向かって共に働いていくということが出来ませんでした。
ひどい時には「ハイハイ」と流されたり無視されたりなどもあり、悔しく悲しい思いも何度もしました。
今思うと、当時の私は嫌われてしまうことが怖くて強く言えず、自分を必死に守っていたのかもしれません。
もちろん保険代理店に自社商品を販売して貰うのはそう簡単なことではなく、保険代理店もある程度規模のある企業となると、取り扱う損害保険会社も多くなります。
その為、自社商品をオススメしてもらえるかというのも、その担当者にかかってくるんですよね。
保険代理店の言葉に一喜一憂し、全然結果を出してもらえない私は、会社に対して収益報告をすることも恥ずかしく、「このままでは自分も担当代理店もろともダメになる」と、何とか知恵を絞り考えて行動するようになりました。
私が人を動かした秘策
笑顔を絶やさず相手を好きになる
これは簡単にできることではないのですが、嫌だなと思う人や抵抗がある人のことを好きになることです。どんな人にも1つや2つ良い部分はあると思います。
時には腹を立つことを言われたり嫌味や暴言を吐かれたりすることもありますが、できる限りその人の良い部分を探して相手を好きになることをしてみました。
相手も人間なので、こちらが笑顔で常にニコニコしていたら調子が狂うらしく、あまり嫌味ばかり言ってこなくなりました。
どんな些細なことも大袈裟に褒め続ける
どんな些細なことでも、相手がやってくれたことに対しては大袈裟に褒め、お礼を言うことを忘れないようにしました。
たとえ小さな契約だったとしても、自社の収益になることには間違いないですし、塵も積もれば山となるので、見え透いたお世辞のような御礼ではなく、できるだけ心から感謝の気持ちを述べるように努力していました。
そして長期的に褒め続けるということも大切です。その1件の小さな成約に対し色々質問してみたり「○○さんスゴイじゃないですか~」と感謝の気持ちを持って褒め続けていたら、相手の方から色々と教えてくれるようになりましたよ。
自分の伝えたいことは褒めた後でも全然構いません、改善点などは褒めた後にお伝えすると「そんな考え方があるのか」と逆に有難がられたりしました。
モチベーションを上げる取り組みをする
モチベーションが上がらないと人は動く気にならないと思うので、その人の好みや特性を把握し、その人のヤル気を起こさせるような取り組みが大事です。
例えば、物を貰うと嬉しい人は事前に会社と相談して「○件の成約で○○プレゼント!」といったようなキャンペーン活動をしてみたり、自分の成果を人に見てもらうことでヤル気が起こる人はランキング形式で成約報告を出してみんなから凄いと言ってもらえるような機会を作ったり、とにかく褒められたい人には上司を連れて大袈裟に御礼に行ったりと、色々と保険代理店のモチベーションを上げる工夫をしました。
また、勉強熱心な人に対しては、毎週保険商品の勉強会を開いたりしたりもしました。
人を動かした結果どうなったか
全てが私だけの力ではありませんが、以前より会社に対して冷たい風当たりはなく、保険代理店自身がとってきた契約の報告を私に自慢げに話してくれたりといった関係性になりました。
また、今まで動かなかった人が、行動していない後輩に注意しているところを見て驚いたのは今でも鮮明に覚えています。
とはいっても年数を重ねれば重ねるほど、何をしてもどう頑張って依頼しても動かない人はいます。やはり年功序列的な考えのもので、年下のしかも私のような女性に言われたくないという思いが強かった人もいたと思います。
そんな人を動かそうと必死に尽力するのではなく、動いてくれる人や努力する人の為に時間を割いた方が何十倍も価値があるので、割り切りも自分の中で大切にしていました。
まとめ
本当に人を動かすということは、自分が動く以上に大変なことだと思います。
人間誰しも、褒められて嫌な気はしないし感謝されて腹が立つ人はいませんよね。
なので、人はどんどん褒めて些細なことでも感謝すれば良いというのが私の持論です。実際に私も人に褒められるともの凄く嬉しくてヤル気が増したし、感謝されるともっとその思いに応えたいと思うようになりました。
「人を変えたければまず自分から」とよく言いますが、本当にその通りで人の気持ちを変えるにはまず自分の行動を変えて相手に見せていくことが大事ですよね。
あなたも、もし人を動かす時に私のように何か困ったことがあれば、これを参考にしていただければ嬉しいです。